2011年10月31日月曜日

The Book of Negroes & The Help





読み終わった本の紹介をふたつほど。

"The Book of Negroes" Lawrence Hill


アフリカのBayoという村に住む、Aminata Dialloは、11歳の時に誘拐され、裸で何ヶ月も歩かされ、船に乗せられ、大変な航海の後にサウスカロライナに到着。インディゴ農園で奴隷として 働かされるも、頭が良かった事から、きちんとした読み書きを習い、そのお陰で、後のアメリカ独立戦争を機にニューヨークから、カナダのノバスコシアに移住する黒人奴隷だった人達の名簿”The Book of Negroes"の編纂に関わる。

色んなことがこのAminataの人生には起こる。
辛く悲しい中にも喜びを見いだす瞬間。
心を引き裂かれた数々の出来事。

両親の元で幸せに暮らしていた11歳の少女から、ある日突然、家族を失い、知らない土地で奴隷へ、、、。

その理不尽さに、もしも自分がAminataだったら、、、、と考える。Aminataじゃなくとも、当時の黒人奴隷だったら、いや、そうじゃなくても例えばある日突然


”あなたは日本人なので逮捕し、これからは奴隷となります”


と言われたら、なんで???と思うよね??
その一言すらなく、連れていかれたら???


この理解できない理不尽さ。
 

諦めてしまうのか、、、反発するのか、、、それとも、生きていくために言いなりになったり、そのために魂を売るような事をするのか、、??
自分だったらどうするのだろう?



このお話(本)は、フィクションだけど、実は、この"The Book of Negroes"という名簿は実際にあるのですよ!
The Book of Negroes (←Nova Scotia Archivesのウェブサイト)

3000人もの人の名前と年齢、その人の特徴などが記されています。
これを見ると、本当に本当にこういう事があったのだ、、と、複雑な気持ちが浮かんできました。

この一人一人の人生は、どんなだったんだろう、、、と。

自由を求め、ノバスコシアに行ったものの、その当時のノバスコシアはそれこそ、森ばかりの冬の長いところで、掘っ建て小屋のような家を建てるところからスタートし、仕事をさがし、どうにか食べていっている姿、自然環境だけでなく、社会環境(白人による差別など)も劣悪だったことを想像すると、そもそも自由ってなんだろう?と考える。

自由は時にはとても困難で、この人達はそれを乗り越えても得る物の方が大きいと希望を持った、強くたくましい人たちだったんだ、、と思った。







二冊目はこちら。

先日の記事で紹介していましたThe Help / Kathryn Stockett

ずっとずっと読みたかった本でした。
むっちゃくちゃおもしろくて、一気読み!
Kathryn Stockettの初めての作品で、これだけおもしろい物が書けるって、素晴らしい才能だなあ!って感じ。


こちらは1960年、アメリカの人種差別が激しい時代の、最もそれが激しかったミシシッピー州のジャクソンが舞台。

3人のメインキャラクターの話が交互に語られていく形で書かれてるのだけど、絶妙なところで、次の人の話になったり、ここで秘密が明かされる〜!!!!ってところで、また別の人の話になったり、、で、もう先を読みたくて読みたくてたまらなくなる本。


一人はAibileen黒人のメイド。経験豊かで今までに17人の白人の子供たちを育ててきている。

そしてMinnyも黒人のメイド。若く率直さがたまに仇になってしまうけど、闘う勇気を持ち、困った人を放っておけない本当は心優しいひと。

それから、Miss Skeeterは白人で、黒人のメイドに育てられ、彼女と良い思い出と深い絆を持っており、ライターになることを夢見ている。教養もあり、孤独を厭わない強さを持つ反面、親(母親)には逆らえず、それに悩む人。

このSkeeterが、白人家庭で仕事をする黒人メイド達による、それぞれの家の”お家事情”をインタビューし、本を書く、、という当時ではとてもとてもタブーとされ、誰がそれをやっているのかが明るみに出ると、命さえ危ないという危険を冒し、恐怖を感じながらも、希望を胸に抱き、覚悟し、前に進み始める。

心を引き裂かれる別れを経験し、それぞれの形の解放から、3人が共通で求めていた”自由”を手に入れていくというお話。

英語(単語)も簡単。
キャラクター描写がよくできているだけに、読んでると彼女達を身近に感じ、本当に近所の人たちのゴシップを聞いてしまっているような感覚にとらわれて、一人で



"むふっっ"



と、笑ってしまったり、



”ぎえええええ、マジで?”



って言ってしまうくらい、引き込まれる。


映画にもなっています。
が、アメリカ南部の訛りで英語が聞き取りにくい、、というレビューも、見ます(日本人によるレビュー)。実際、私もオーディブルでこの本を買っていたのだけど、オーディブルも南部訛りで語られるので、耳に馴染むのに時間がかかり、何度も聞き返していました。文体も南部訛りっぽく書かれているけれど、読んでいるうちに慣れていくと思います。

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